膣前庭乳頭症とフォアダイス

膣前庭乳頭症とフォアダイス

膣前庭乳頭症は性器にツブツブ状のものが出来る現象で、尖圭コンジローマと勘違いして悩まれている若者が多くおられるようです。また、男性の場合フォアダイスによく似た現象に、真珠様陰茎小丘疹というものがあります。女性の場合は膣前庭乳頭症と呼ばれています。こちらも、尖圭コンジローマと似ているので、誤診されて必要のない治療が実施されるケースもあるようです。

●フォアダイスと真珠様陰茎小丘疹

男性のペニスの陰茎(サオと呼ばれる部分)や包皮に、直径１ミリ前後の黄白色の粒状のものが数多く認められる状態がフォアダイスです。

フォアダイスは、簡単に言えば｢毛のない毛根｣のことで、もともとは毛根の周囲にあるはずの脂腺が独立して(毛のない状態で)存在し、皮膚や粘膜表面から脂肪の黄色い粒(ツブ)が透けて見えている状態です。女性の場合は、小陰唇などで同じ状態が見られることがあります。

フォアダイスとよく似た現象で、真珠様陰茎小丘疹と呼ばれるものもあります。特徴としては、亀頭部の冠状溝(カリと呼ばれる部分)を取り囲むように、黄白色の細かい粒が真珠の首飾り状に一列に並んでいます。

フォアダイスは陰茎に生じ、真珠様陰茎小丘疹は亀頭と冠状溝に沿って生じるのが特徴です。フォアダイスも真珠様陰茎小丘疹も尖圭コンジローマに間違えられることがありますが、生理的な現象で性感染症などの病気ではなく治療の必要はありません。膣前庭乳頭症は、真珠様陰茎小丘疹の女性版です。

●膣前庭乳頭症とは

膣前庭乳頭症は膣前庭(膣からクリトリスにかけての小陰唇の内側部分)や膣にできるツブツブで、皮膚や粘膜の組織が増殖してできるのではないかといわれています。

性行為により感染するSTD(性感染症)ではなく、生理現象ですので治療の必要はありません。

ただし、STDである尖圭コンジローマと誤診されることがあり、本来は必要のない治療を実施され心身ともに疲れてしまう患者さんが多いのも事実のようです。このような誤診を避けるためにも、尖圭コンジローマと膣前庭乳頭症それぞれの特徴を知っておくことが大切になります。

◆膣前庭乳頭症と尖圭コンジローマの特徴と見分け方

(1)発生状態について

・ 膣前庭乳頭症： 膣口周囲から小陰唇内側にかけて左右対称に多発し密集。

・ 尖圭コンジローマ： 非対称性に発生し、まばら。

(2)大きさと形状について

・ 膣前庭乳頭症： 直径1ミリ前後、長さ2〜3ミリ程度で大きさはほぼ均一。

・ 尖圭コンジローマ： 大きさは大小さまざまで不統一。

(3)色について

・ 膣前庭乳頭症： 表面の色は正常な色で、周囲の色と変わりありません。

・ 尖圭コンジローマ： 表面の色は正常な粘膜の色と異なります。

(4)痛み・かゆみについて

・ 膣前庭乳頭症： 痛みやかゆみを伴うことがあります。

・ 尖圭コンジローマ： 痛みやかゆみはありません。

(5)変化について

・ 膣前庭乳頭症： 生理周期(ホルモンバランス)により形や大きさ・数に微妙な変化。

・ 尖圭コンジローマ： 放置しておくとひたすら増殖し、大きくなります。

◆性行為の経験ない方へ

尖圭コンジローマの大部分は性行為及びそれに類する行為により感染しますので、性行為の経験の全くない方が尖圭コンジローマになる可能性は非常に低いと思われます。もし、尖圭コンジローマによく似た症状がある場合は、フォアダイス・真珠様陰茎小丘疹・膣前庭乳頭症などの可能性が高いと考えください。

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